美肌の根本は腸にあり現代女性の腸内環境の実態
食生活でスローエイジングをめざそう
近年の国民調査では、「日本女性の48%が便秘」という結果が出ています。便秘の人は、お腹の調子の悪さを色々な症状で自覚しています。
そして、それが健康に影響することも自覚しています。しかし、便秘女性の多くは、「出れば大丈夫」と、腸内環境の状態に無頓着です。
20代女性を中心とした現代女性に多い便秘には、三つ原因があります。第一に「習慣性の便秘」。これは偏った食事が原因です。野菜に比べ肉が多い食生活で食物繊維が不足するために起こります。
第二に「弛緩性の便秘」。運動不足で大腸の蠕動運動(中身を移動させる動き)を担う大腰筋や腸骨筋が衰えると、排便時に押し出す筋力が足りず便秘となります。
最後は「痙攣性の便秘」。ストレスにより副交感神経が緊張し、腸に痙攣が起こることが原因です。
その痙攣している部分が狭くなり、〝うんち.の送り出しが妨げられます。これで、ウサギのようなコロコロしたうんちしか出ない便秘になります。
これら全ての便秘において、善玉菌が減り悪玉菌が増えるという腸内環境の悪化が大きく関与しています。
便秘にともなうトラブルは、表面的なケアよりも体の中、腸内環境を整えることが大切です。
腸内環境を整えるために腸内に共生している菌を知る小腸は消化吸収の要。腸内細菌は大腸で活躍長さ6.8m、表面積はおおよそテニスコート1面分ある小腸は、細胞が臓器の中で一番活性が高く、消化酵素を出して食べた物を糖や脂質、アミノ酸に分解し、吸収していきます。
栄養を吸収する場として雑菌が少ないため、小腸は体の中でもっとも病気が起こりにくい臓器です。
一方、小腸が消化吸収を終えた物が運ばれる大腸には、1000種類以上、重さにして約1.5㎏の腸内細菌が住んでいます。このうち約20%が善玉菌のビフィズス菌や乳酸菌、約10%は悪玉菌、残りは未知の菌「日和見菌」です。
日和見菌は、その名の通り、善玉菌と悪玉菌のうち優勢なほうの味方につくという菌なので、腸内環境を良くするためには、善玉菌をいかに増やすかがカギとなります。よく「腸をキレイに」と言いますが、これは悪玉菌を完全に排除するという意味ではありません。
善玉菌と悪玉菌は共生し、食物繊維や残渣物(食べ物のカス)を分解しています。「良い腸内環境」とは、善玉菌が優勢な状態を言うのです。
腸内環境の改善とは「汚れ取り」にあらず
腸が汚れていると聞くと、腸壁に食べ物のカスがたくさんついているようなイメージを持っていませんか? これは間違いです。
大腸壁の細胞には菌がびっしり付着しており、その細胞はどんどん剥がれて排出されています。腸管洗浄で腸内を綺麗にできたとしても、何かを食べ、有形便が戻れば菌も戻ります。
ですから、腸を洗っても便秘の根本的な解消にはなりません。いいうんちをするためには、大腸内の細菌をコントロールすることが重要です。
そのために何を食べ、どんなカスを腸に送り込むかが大切なのです。
うんちは腸内環境のコピー毎日出し続けることが重要
うんちの匂いは腸内環境を知るカギ 小腸から届けられた食べカスは、大腸の上行結腸から横行結腸、下行結腸へと移動していきます。
この過程で腸内細菌がどんどん残渣物を分解していきます。腸内細菌が分解したものは腸壁から吸収されますが、それと同時に食べカスが横行結腸から下行結腸に移動する間に20%の水分も吸収されていき、残りがS字結腸でうんちとなって溜まっていきます。
S字結腸に溜まったうんちは80%が水分、残り20%が固形物である状態が理想的です。この固形物の内容は、食べカス、剥がれた腸の粘膜、腸内細菌で構成されています。うんちの臭いの元となるのは、この固形物内にある腸内細菌のバランスです。
うんち=くさい、のではなく、臭いがキツいと感じるうんちは、悪玉菌の多い腸内環境にあったうんちだからです。善玉菌が多い腸内環境のうんちの臭いは、そんなにキツくありません。例えば、授乳期の赤ちゃんのうんちが大人のそれに比べて酸臭が強いのは、母乳やミルクだけを飲んでいるため、大腸内でビフィズス菌が優勢になっているからです。
逆に、「お父さんが入った後のトイレは臭い」なんていう話をよく聞くのは、40代男性の腸内環境が悪化しているためです。これは、仕事のストレスを抱え、アルコールや油ものが多い偏った食生活を送っているからです。この年代は「下痢世代」とも言われています。20代女性にも便秘や下痢に悩む人が多く、現代の20代女性の腸内環境は40代男性のものと、ある程度似てきているのが現状です。
「出た」からOKではなく「出す」ことを習慣化する
「おなかがぽっこり出る」とか「肌の調子が悪い」という自覚症状があるのに、便秘への意識が非常に低いのが現代女性の特徴です。キャンドルブッシュなどのデトックス系のお茶を過剰に摂取したり、週末に下剤を飲んでトイレに入る、「週末トイレ症候群」という人もいます。出したことで安心していますが、悪い腸内環境(悪玉菌が優勢)でうんちが溜まれば、その間に吸収された有害物質が体内を回り、肌に影響するのも必然です。
良い腸内環境でできたうんちは、便座に座るとスルスルと出ます。ゴツゴツした形が良く、これは食物繊維を充分に摂れている証です。
そして「トイレに行けばうんちが出る」のではなく、「うんちをするためにトイレに行く」こと。出すことに受け身にならず、毎日定期的に排便する習慣が大切です。